会社設立の手続①「事業目的の決定」

どうも!
沖縄の行政書士、酒井です。

前回につづき、会社設立の話です。

前回は、会社設立に最低かかる費用は、株式会社で20万円、合同会社で6万円(紙の定款ならとそれぞれ更に印紙代4万円プラス)かかり、士業に依頼すればさらに報酬分費用がかかるという話でした。

今回は専門家に依頼するメリットについて書きます。と前回宣言したのですが、「専門家に依頼するメリット」なんてもう皆さん見飽きてると思ったので、我々が依頼を請けて行う設立作業の一連の流れをちょっと詳しく説明します。その内容を読んでいただいて、この報酬額なら妥当だなと思っていただければ幸いですが・・・・
また、自力で設立するぞ!という方には参考になればと思います。

数人の発起人が発起設立で行う一般的な株式会社の設立の話だと思って読んでください。

まず、依頼を頂いたら、定款を作成しなければなりません。
定款というのは、会社の目的・組織・活動・構成員・業務執行などについての基本規則を定めるものです。会社における憲法などといわれます。(おおげさですね)定款には、これを決めてなかったら定款は無効ですよという、絶対的記載事項というものがあり、定款にはかならず記載しておかなければなりません。で、その絶対的記載事項は次のとおり。

・目的
・商号
・本店の所在地
・設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
・発起人の氏名又は名称及び住所

目的というのは、その会社の事業内容です。「不動産業」とか、「飲食店の経営」とか、設立する会社で行う事業を決めます。会社を設立しようというお客様なら、決めるもなにも何をしたいか既に決まってるのが普通です。
ただ、上に書いた「不動産業」とかなら簡単ですが、なかにはお客様から事業内容を説明していただいて、なんとなく意図するところはわかるけれども、簡潔に表すとなるとなんて書けばいいのかな?というようなものもあります。

目的の定め方のコツとしては、あまり具体的にしすぎないことです。
例えば「カフェの経営」、「フレンチレストランの経営」、「イタリアンレストランの経営」と3つ書くなら、「飲食店の経営」だけでいいというようなことです。定められる目的の数に特に制限はありませんが、「カフェの経営」、「フレンチレストランの経営」、「イタリアンレストランの経営」と定めておいて、後で「中華料理店」もやろう!となったら、目的を追加する必要がありますが、「飲食店の経営」としておけば、設立後の目的変更の手続は必要ないです。
といって、「事業の経営」なんて定めてはダメです。あまりに漠然としすぎですよね。

目的の文言は、よほど意味不明でない限りOKですが、上記のような点に注意しながら、決めていきます。【追加】「麻薬の販売」「殺人の請負」などの犯罪を目的にするのは当然ダメです。

お客様に目的を列挙してもらうと、だいたいが具体的に定め過ぎてしまうため、目的の数が膨大になりがちです。(50個とか100個とか書いてくる方もいます)我々はお客様が意図する事業内容を外さないように整理してまとめます。

目的について注意する点をもう一つ、設立後に許認可申請するような場合です。例えば、福祉事業所の指定申請を行うような場合、目的の文言は行政側からこの記載で書いてください!と指定されていたりします。また、他の許可申請を行う場合でも、こうかいておいた方がいいというようなことがあります。

目的は、旧商法時代に比べると、要件がゆるくなりあまり気にしなくても良くなったとはいえ、下手に決めてしまうと、設立後に変更しなければならなくなります。変更登記は登録免許税が3万円もかかりますのでご注意ください。

長くなるので、次回。
では、また。

会社設立の話 会社の設立にかかる費用

どうも!
沖縄の行政書士、酒井です。

今年の冬は暖かいなぁ~と思っていたら、昨日あたりから寒くなってきましたね。私は内地出身ですが、沖縄に来た最初の1、2年はちっとも寒さなんか感じませんでしたが、最近は気温20度を下回ると、「寒い・・・死ぬ・・・」と大げさなでっかいストーブに火を入れるようになってしまいました。内地の気温一桁なんてもう耐えられそうにありません・・・

ところで、会社設立の話です。
当事務所では株式会社、合同会社の設立手続のサポートを行っています。
行政書士事務所、司法書士事務所、税理士事務所、どこのウェブサイトを見ても、「会社設立承ります」と書いてあります。で、その報酬額もさまざま・・・

ある税理士事務所などは、「会社設立1980円」などと謳っていますが、じゃあ、1980円握り締めてその事務所の門を叩けば会社が出来上がるのか?というとそんなことはないです。何年間かの顧問契約が条件になっていて、「顧問契約はいらん!」といったら1980円では設立してはくれません。

株式会社を例にとって、最低限設立にかかる費用について書いてみます。

まず、株式会社の定款は公証人の認証を受けなければなりません。この定款認証の公証人手数料は5万円です。その他、定款の謄本が1通1,000円ちょっとかかります。また、定款は紙で作成しても電磁的記録で作成してもいいのですが、紙で作成すると4万円の収入印紙を貼らなければなりません。ここまでで、紙の定款なら9万円、電子定款なら5万円。

次に設立登記申請の際に収める登録免許税が最低15万円。(資本金の額×7/1000が、15万円に満たない場合は15万円になります。)

株式会社の法定費用は20万円強(紙の定款なら24万円)です。

ちなみに、合同会社の場合は、定款認証は不要なので、公証人手数料は要りません。登記申請の際の登録免許税は株式会社にくらべるとグッとお値打ちな、最低6万円です。(資本金の額×7/1000が、6万円に満たない場合は6万円になります。)定款に関しては株式会社と同じく、紙の定款なら4万円の印紙を貼付、電子定款なら印紙不要です。合同会社の法定費用は6万円くらい(紙の定款なら10万円)です。

つまり、会社を設立する場合、我々士業に依頼しなくても、株式会社なら20万円、合同会社なら6万円はかかるということです。

あと、株式会社、合同会社ともにわすれてはならないのが、資本金です。資本金は1円でも1億でもかまいません。1円ってのはあまり現実的ではありませんが・・・

その他にも、法定費用でなくても費用はいろいろとかかってきます。

で、当事務所にご依頼いただいた場合、提携司法書士の費用も含めると、株式会社だと32万円くらい、合同会社なら17万円くらいになってしまいます・・・

高いですか・・・?

会社設立の話は数回続ける予定ですが、次回、士業に依頼するメリット等について書きます。

では、また。

最高裁、花押を「印」と認めず…遺言書「無効」 の話

どうも!
沖縄市の行政書士、酒井です。
今日、こんなニュースが出てました。

最高裁、花押を「印」と認めず…遺言書「無効」読売新聞 6月3日(金)15時9分配信

なんだそうです・・・。
何で普通の印鑑で押印じゃなく「花押」(かおう)にしたんですかね。
花押の方がカッコイイからでしょうか?

遺言書を作るのは相続人間の争いを減らすのには非常にいいことだと思うのですが、遺言の有効性が争われるような事態になったら逆に相続人は大変ですね。

遺言をするならやっぱり「公正証書遺言」が良いです。

このニュースの遺言書は、自筆証書遺言だと思いますが、この方式は家で簡単に作成できますので、偽造などの危険が一番高いんですね。
なので民法の規定、

(自筆証書遺言)
第九百六十八条
自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
2 自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。

を、厳格に貫いたということでしょうか。

拇印はOKという判例もあるようですが、様式を守らないと遺言は無効になってしまうので要注意です。

ではまた。

口約束でお金を貸したら、期限到来!返すからちょっと待って、の話

どうも!沖縄市の行政書士、酒井です。
今日は、上記タイトルの話です。
契約書の作成のご依頼を頂くことがありますが、お金を貸す前に、「金銭消費貸借契約書」または「金銭借用書」などを依頼されるかといえば、そんなのほとんどありません。
では、どういうときにご相談に来られるかというと、証書なしで貸したら期限が来ても払えないという、いやいや返してと言ったら、絶対払うからちょっと待って、みたいな話が多いです。みなさん結構な額を貸しているんだなと驚くことも多いのですが、さすがにそのままあとちょっと待ってやろうという方は少なく、じゃあなんらかの証拠になるものを残しておこう!ということになり当事務所に来られるわけです。
(ちなみに、内容証明を送ってもぜんぜん払う気ないみたいで困ってます。というような埒のあかない話のときは、弁護士さんのところへ行ってもらいます。)

このような口頭の契約でお金を貸した場合、後で作成するものとしては、「債務承認弁済契約書」があります。どんだけ借りてるか承認してきっと返しますと約束させる契約書ですね。とりあえずこの証書に署名押印してもらえれば、「借りたお金?知らないよそんなの・・・」とは言わせないことができます。
また、額によっては今払えないものが、1年後に全額払えるとは思えないというような場合もあります。そんなときは分割で支払う約束にしたり、一部免除するなども可能です。(免除?とんでもない!と思うかもしれませんが、あまりに残が多いと支払う意思を喪失して開き直る場合もあります。そういうときは、貸主は一部でも回収することを考えて本意ではないけど・・・ということです。)

ただ、当事者間で作成した私文書では、期限に支払わなかったり、分割金の支払いが滞ったりしても、いきなり差押したりはできません。訴訟を提起し裁判所で「確かにAさんはお金を貸してます。で、Bさんは払ってないですね。Bさん払いなさいよ。」と認めてもらって初めて差押です。
裁判なんて面倒だし、あんまり意味ないなと思った方もいると思いますが、そういう場合は良い方法があります。それは、この契約を公正証書にしてしまうことなんですね。ここまで行けばまあ安心といったところでしょうか。公正証書は判決と同様の効力があるので、支払わない場合は裁判無しで即執行できます。

期限が来たのに払わず、催告されたら絶対払うからと債務承認弁済契約書に押印する人もそう多くはないと思いますので、お金を貸す場合は、簡単なものでもいいので、書面にして残しておきましょう。

ではまた。

契約書などの訂正方法の話

どうも!沖縄市の行政書士、酒井です。
前のブログで非常にアクセスが多かった記事なのですが、契約書や、申請書などの訂正方法についてです。
契約書や申請書等の文書は、間違えないようにチェックして、「これでOK!」と取引相手や、申請先へ持っていくわけですが、契約当日に現場で誤記に気づいた、または、その場で書き込む内容を書き損じたなんてことは、起こって欲しくはないのですが、たま~に起こってしまいます。
そいういとき、急いでパソコンとプリンターのあるところへ走るのも正解ですが、一旦帰って出しなおし・・・なんて時間はない!ということのほうが多いです。そこで、訂正方法。
申請書などは、モノによっては下の文字が見えるように2重線で消してそのまま書き直していいよ。というようなものもありますが、契約書なんかは、「金銭消費貸借100万円」と書いたところを、「金銭消費貸借100万円1000万円」などと明らかに書き直してるじゃないか!というようなことが起こっては後々大変なことになります。
このような場合、2つの訂正方法があります。やり方は以下のとおりです。

直説法

間接法



まずは、左側、(スマートフォンだと上かもしれません)「直接法」です。
間違えたところに線を引き、近くに書き直し訂正箇所に契約当事者が直接押印します。これでOKです。行間がびっしりの契約書なんかだと訂正して追記した文字+印鑑を押したら、周りの字も読めないなんてことになって、やっぱりプリントし直しだ~ということにもなりかねませんのでご注意を。

つぎに右側、(スマートフォンなら下?)「間接法」です。これは間違えたところに線を引いて消して書き直すところまでは同じです。その訂正箇所には押印せず、欄外の余白に当事者が押印します。その押印箇所の付近に、「〇字訂正」とか、「〇字削除〇字加入」などと書きます。これでOKです。
契約のときなどに、「ここに捨印貰っていいですか?」といわれることがありますよね?あれは、間違えたときに訂正するためなんですね。
ただ、やたらめったら、捨印を押すのは危険ですので、連帯保証契約書とか、金銭借用書なんかには押さないようにしましょう。
行政書士の私も、お客さんに委任状とか、申請書に押印をいただく場合、「念のため」捨印を頂くことがあります。
まあ、その場しのぎの方法ですが、覚えておくといいと思います。

この訂正方法、万能かといえばそうではありません。「書き直し禁止」の申請書もありますし、遺言のように訂正方法が厳格な場合もあります。一番いいのは、前日にしっかり見直しておくことと、当日に落ち着いて記入することです。時間があればプリントしなおすのがベストですね。

では、また。

てぃーだブログから引越し。最近ブームの民泊の話

こんにちは。沖縄市の行政書士、酒井です。
てぃーだブログから引越しして、当事務所メインウェブサイト内で再開です。長期間放置することもあるのですが、日々思いついたことを書いていきます。

最近よくあるお問い合わせと言えば、「民泊」です。旅館業許可の簡易宿所営業の許可のことなのですが、Airbnbというサイトのサービスで、世界中の旅行者が、そのサイトに登録された個人の住宅等をホテルや旅館代わりに利用するというものなのだそうです。1年くらい前から、個人の住宅を宿泊施設として提供するにはどうしたらいいか?という相談が時々ありましたが、ここに来てこれが急増中です。なんでも、このAirbnbを利用して空き部屋や空きアパート、空きマンション等を旅行者に提供し、利益をあげているという人が結構いるんだそうです。今は、自分の所有する不動産を利用するだけでなく、賃借した建物を利用してこのようなサービスを始めようという方も増えているようです。

旅館業許可(簡易宿所)の要件・基準などは当事務所ウェブサイトにいろいろと記述しているのでそちらをご覧頂くとして、物件を選ぶ際、最初に確認していただきたいことをここでお知らせしておきます。

それは、「物件所在地の用途地域」です。

都市計画法に根拠があるのですが、都市計画区域内の市街化区域には地域ごとに「用途地域」というのが定められています。ホテルや旅館を建てられますよ!という用途地域は決まっていて、建てられない用途地域もあるわけです。建てられない用途地域は、「住居専用地域」と付く用途地域等はだめなんですね。(他、工業地域なんかもダメです)

新築のホテルを建てるなら、「じゃあ、他の場所で!」と建設場所を変えることができますが、もともと建っている既存の住宅を利用する場合は、引っ張って移動するわけにもいきません・・・。
その建物は「民泊」に利用できないということになります。

不動産屋さんで、民泊用の物件を探している方、最初に聞くのは、
「この物件の所在地の用途地域はなんですか?」
です。詳しくは、当事務所のサイトをご覧ください。

ではまた。