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契約書の構成
契約書構成の例
土地売買契約書 (標題)
沖縄県市町村番地
売主(甲)甲 野 太 郎
沖縄県市町村番地
買主(乙)乙 野 次 郎 (当事者の表示)
上記、甲と乙との間で、後記記載の土地に関して下記のとおり契約する。 (前書き)
第1条
甲は乙に対し後記表示の土地を売り渡すことを約し乙はこれを買い受ける。 (目的)
第2条
売買価格は実測面積を基準として1㎡当り金○○万円とし、乙は甲に対し
総額金○○○○万円を下記のとおり支払う。
(1)本日手付金として金○万円(残代金支払い時に代金に充当する)
(2)残金○○○○万円を平成○○年○月○日までに、後記土地の所有権移転登記申請と引換えに支払う。
第3条
甲は乙に対し、後記土地につき平成○○年○月○日までに前条(2)の残代金支払いと引き換えに所有権移転登記申請をなすものとし、同日後記土地を更地として引渡すものとする。
前項所有権移転登記申請のとき後記土地の所有権は乙に移転する。
上記のとおり甲乙間に売買契約が成立したので本証2通を作成し甲乙各1通を保有する。 (後書き)
不動産の表示
所 在 沖縄県市区町村
地 番 ○番
地 目 宅地
地 積 ○○○㎡○○ (物権の表示)
平成○○年○月○日 (作成年月日)
売主(甲)甲 野 太 郎 ㊞
買主(乙)乙 野 次 郎 ㊞ (当事者の署名・押印)
※ 土地売買契約書の一例です。
標題(契約書のタイトル)
契約書の冒頭には、「売買契約書」とか「賃貸借契約書」というように、その契約書の標題が書かれていて、標題を見ただけで、おおよその契約書の目的が分かるようになっています。
法律では、契約書の形式についてとくに決まりがあるわけではありませんので、標題がないからといって契約書が無効になったりするわけではありませんが、タイトルをつけておくに越したことはありません。
また、仮に「売買契約書」という標題がつけられた契約書の内容が「賃貸借契約書」に関する内容が記されていたとしても、契約内容がそれによって左右されることはありません。売買と賃貸借の違いほど極端でないにしろ、「念書」「覚書」「誓約書」などと書かれていても、内容が売買契約書であれば、売買の証拠として効力を持ちます。
しかし、「念書」「覚書」などと書かれている証書よりは、「契約書」と書かれている方が、いざ裁判の証拠として提出するとなった場合には、「契約書」の方が証拠力が高く評価されるようです。
標題のつけ方
契約内容が、土地の売買なら「土地売買契約書」、建物の賃貸借なら「建物賃貸借契約書」、土地と建物の売買なら「不動産売買契約書」などと標題を記載します。契約内容が単一であれば、言い切ってしまっても特に問題は生じません。ところが、契約内容が複合的で、1つの契約書の中にいくつかの契約内容が絡んでいるような場合は、言い切ってしまうのは危険なときもあります。
標題に記載していなくても契約の有効性に問題がないと上記で述べましたが、条項にはあるが、標題に記載のないものについて、契約の相手方が、「標題にないから分からなかった。取消す」などと言い始めることがないとはいえません。このような無用な争いが生じないように、「契約書」とだけ書いておくか、「○○等契約書」と含みを持たせるようにしておくほうが良いといえます。
当事者の表示
誰と誰の契約かを明確にするため記載します。例のように前書きとは別に記載してもいいですし、前書きの文中に記載してもいいです。
前書き
通常、標題の次に「前書き」の一文があります。前書きは、「当事者の表示」と「目的条項」を合わせて、この契約の当事者が誰なのか、目的は何なのかを明確にするものです。
上記のサンプルでは、当事者の表示と目的条項が別に記載されていますが、
上記、沖縄県市区町村番地、甲野太郎(以下甲という)と沖縄県市区町村番地、乙野次郎(以下乙という)との間で、後記記載の土地の売買に関して下記のとおり契約する。
と、前書きに書いてもかまいません。(契約書の形式は自由です。)この前書きも、契約書全体から誰が当事者か、何をどうしたのかが分かれば、なくても有効無効に関係ないのですが、当事者の代理人が署名押印したような場合など、最初に契約当事者は誰かを宣言しておいたほうが分かりやすいといえます。
目的
契約の目的を記載します。例では売買契約なのでその旨が記載されています。
物件の表示
不動産の売買、賃貸などでは、契約の対象となる物件を特定するために、「物件の表示」を記載します。法務局の登記事項証明を取得して、正確な表示を記載する必要があります。契約書を登記申請の際、「登記原因証明情報」として使うならば、物件の表示が登記簿と違うことは致命的ですので注意が必要です。
土地の売買の場合、実際に測量した地積に1㎡あたりの単価をかけて売買代金を決める場合には、法務局の登記簿と、実測とで地積が違うということもあり、公簿面積に加え、実測の地積を記載することもあります。不動産に限らず、取引の対象となる物が何であるか「目的物の表示」を詳細に記しておくことは契約書では重要なことです。
後書き
契約書の体裁を整え、契約書を何通作成したかを「後書き」に記載します。
作成年月日
絶対的に記載すべき事項です。
契約がいつ行われたかによって、権利義務の発生の時期が決まりますので、これを欠く契約書は重大な欠陥がある契約書ということになりますので、必ず「作成年月日」を記載しましょう。
当事者の署名・押印
契約当事者の署名と押印をします。記名押印でも無効ではありませんが、署名を取っておくほうが無難です。「署名」は自筆で書くこと、「記名」はワープロなどで印字したもののことをいいます。
押印については、「実印」が望ましいですが、「認印」ではだめということではありません。しかし、機械で画一的に制作されたいわゆる「三文判」での押印は避けたほうがよいです。また、不動産・自動車など登記・登録されているものを所有権の名義を移転する手続では、だいたい実印で押印し、印鑑証明書の添付が必要です。
印紙の貼付・消印
契約によって、契約書を作成したときは収入印紙を貼付し、印鑑で消印をする必要があります。
印紙については、別ページへ ⇒ 契約書に貼付する印紙
確定日付
契約書を作成した日を、公に証明する場合には、公証役場で、「確定日付印」を押印してもらいます。確定日付を取っておけば、その「年月日にはこの契約書は存在した」ということが証明できます。
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