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NPO法人成立要件と設立手続
NPO法人とは
NPOとは、様々な社会貢献活動を行い、団体の構成員に対し収益を分配することを目的としない団体の総称です。
収益を目的とする事業を行うことは認められますが、事業で得た収益は様々な社会貢献活動に充てることになります。
NPOうち特定非営利活動促進法に基づき法人格を取得したものを、特定非営利活動法人(NPO法人)といいます。
NPOの中には法人格を持たず活動しているところも多数ありますが、法人格を持たないと、銀行口座の開設や事務所の賃借などを団体の名で行うことができないなどの不都合が生じます。特定非営利活動法人制度とは、こうした不都合を解消しNPO活動を促進することを目的とした、簡易な手続きで法人格を取得できるというものです。
設立するためには、定款を作成し、所轄庁に申請して認証を受けることが必要です。設立の認証後、登記により法人格を取得することができます。
NPO法人の成立要件
NPO団体が、NPO法人になろうとする場合、以下のような要件を満たしていなければなりません。
- 特定非営利活動を行うことを主たる目的とすること
- 営利を目的としないものであること
- 社員の資格の得喪に関して不当な条件を付さないこと
- 役員のうち報酬を受ける者の数が、役員総数の3分の1以下であること
- 宗教活動や政治活動を主たる目的とするものでないこと
- 特定の公職者(候補者を含む)又は政党を推薦、支持、反対することを
目的とするものでないこと - 暴力団でないこと、暴力団又は暴力団の構成員等の統制の下にある団体でないこと
- 10人以上の社員を有するものであること
特定非営利活動
NPO法人として、法人格を取得するためには、法人の活動目的が特定の17分野の非営利事業のうちの1つまたは複数が下記に挙げられる分野に該当することが必要です。団体の活動のすべてがあてはまらなければならないわけではなく、団体の主たる活動目的が1つでもあてはまることが要件となっています。
【特定非営利活動】
- 保健、医療又は福祉の増進を図る活動
- 社会教育の推進を図る活動
- まちづくりの推進を図る活動
- 学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
- 環境の保全を図る活動
- 災害救援活動
- 地域安全活動
- 人権の擁護又は平和の推進を図る活動
- 国際協力の活動
- 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
- 子どもの健全育成を図る活動
- 情報化社会の発展を図る活動
- 科学技術の振興を図る活動
- 経済活動の活性化を図る活動
- 職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
- 消費者の保護を図る活動
- 前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
非営利性
NPO法人は非営利法人である必要がありますが、この非営利とはサービスに対する対価を受け取ってはいけない、という意味ではありません。
サービスに対して対価を得ることは可能です。
株式会社は営利法人ですが、株式会社が収益を上げれば、構成員である株主に利益を配当することができますが、NPO法人は活動を行う中で得た収益を、社員に分配することができないという意味です。
社員の資格の得喪に関して不当な条件を付さない
社員とは、社団の構成員という意味ですが、NPO法人は社員の資格の得喪に関して不当な条件を付すことができません。
NPO法人のサービスは、不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とするものである必要があることから、入会に制限を付けることは原則できません。誰もが会員(社員)になれるとしたうえで、会員になったものに対して会員向けサービスを提供しているというような場合であれば要件を満たすことができる場合もあります。あくまで、主たる活動目的について、不特定かつ多数のものに開かれている必要があるということです。
役員のうち報酬を受ける者の数が役員総数の3分の1以下
ここでいう報酬とは、「役員としての職務に対する対価」をいいます。役員が、法人の職員を兼ねている場合、職員として給与を受けることは禁止されていません。理事3人、監事1人のNPO法人の場合で、理事3人は役員としての報酬を受けず、法人の職員として給与を受け、監事は役員報酬を受けるということにすれば、上記要件を満たしているということになります。
10人以上の社員を有するものであること
NPO法人を設立するには、10人以上の社員(会員)を集めなくてはなりません。
その他人的要件として、理事3人、監事1人が必要ですが、理事、監事は社員が兼ねることができるので最低10人は賛同者がいなければならないことになります。
NPO法人の設立認証
NPO法人の定款の絶対的記載事項
NPO法人の定款に記載しなければならない事項です。
この絶対的記載事項を欠いた定款は無効となります。
- 目的
- 名称
- その行う特定非営利活動の種類及び当該特定非営利活動に係る事業の種類
- 主たる事務所及びその他の事務所の所在地
- 社員の資格の得喪に関する事項
- 役員に関する事項
- 会議に関する事項
- 資産に関する事項
- 会計に関する事項
- 事業年度
- その他の事業を行う場合には、その種類その他当該その他の事業に関する事項
- 解散に関する事項
- 定款の変更に関する事項
- 公告の方法
- 設立当初の役員
- 役員の任期
NPO法人の定款の相対的記載事項
定款に記載がなくても直ちに定款が無効とはなりませんが、記載がない以上その事項につき効力が認められないものを相対的記載事項といいます。
- 理事の代表権の制限
- 理事による法人の業務の決定方法
- 定款の変更決議要件の別段の定め
- 社員による臨時総会招集請求に必要な社員数の別段の定め
- 理事その他の役員に委任される法人の事務
- 総会の決議事項の事前通知の原則の別段の定め
- 各社員の表決権は関する別段の定め
- 総会の社員の書面決議及び代理人出席の可否に関する別段の定め
- 法定解散事由以外の解散事由の定め
- 残余財産の帰属
- 合併を決定する際の社員総会の議決要件の別段の定め
- 解散の決議に関する決議要件の別段の定め
- 理事以外を清算人に選任する定め
認証申請・縦覧・審査
NPO法人を設立しようとするときには、認証を取得する必要があります。
株式会社等のような定款に公証人の認証を受けるのではなく、NPO法人の場合は「所轄庁」の設立認証となります。
所轄庁とは、一つの都道府県の区域内にNPO法人の事務所がある場合は都道府県の知事のことをいい、2以上の都道府県の区域内に事務所がある場合は、内閣総理大臣が所轄庁になります。
所轄庁に認証申請すると、書類に不備がなければ受理されますが、事前に所轄庁で数回の打ち合わせが必要になるのが通常です。
申請が受理されると、2ヶ月間一般に縦覧されます。
同時に、所轄庁による審査が行われ、縦覧期間終了後の2ヶ月以内に認証か不認証かが決定されます。
申請から2ヶ月以上4ヶ月未満の間の期間が設立認証にはかかるということになります。
不認証の決定がされても、修正して再審査を受けることはできますが、再度、縦覧と審査を受けることになります。
認証申請に必要な書類
NPO法人の認証申請には、以下の書類が必要となります。
- 設立認証申請書
- 定款
- 役員名簿
- 就任承諾および誓約書の謄本
- 役員の住所又は居所を証する書類
- 社員のうち10人以上の者の名簿
- 確認書
(宗教・政治・選挙活動を目的とする団体でないこと及び、暴力団でないこと、暴力団の統制下にある団体でないこと、暴力団の構成員の統制下にある団体でないこと、暴力団の構成員でなくなった日から5年を経過しない者の統制下にある団体でないことに該当することの確認書) - 設立趣旨書
- 設立についての意思の決定を証する議事録の謄本(設立総会議事録のコピー)
- 設立当初の事業年度及び翌事業年度の事業計画書
- 設立当初の事業年度及び翌事業年度の収支予算書
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