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旅館業許可Q&A

Q1:民泊を始めたいが旅館業許可は必要ですか?

A:最近、「民泊」という言葉をテレビや新聞などで頻繁に目にするようになりました。
遠方から遊びに来た友達を無償で家に泊めるのも民泊といえば民泊ですし、空き屋や、アパート、マンションを貸して宿泊料を取って旅行者を宿泊させるのも民泊といわれています。
民泊の定義は、法律などで定まっているわけではなく、広い意味を持っています。

まず、「旅館業」の定義ですが、「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」とされ、無償で泊める場合は旅館業にはあたりません。(「宿泊料」と言わず、「体験料」など別の名目をつけても料金を受ければ許可は必要です)

上記の友達を無償で泊める場合、旅館業の許可は不要です。たとえ、その友達が泊めてくれたお礼と言ってお金を渡したとしても、それは営業としての対価ではありませんし、「社会性をもって継続反復されているもの」でないため旅館業にはあたりません。

一方、空き屋、空きアパート、空きマンション等を提供して宿泊料を受けて旅行者を宿泊させる場合の「民泊」は、旅館業にあたり、許可が必要となります。


Q2:「民泊」と言わず、空き屋等を賃貸借契約で2、3日貸すとすれば旅館業の許可は必要ないのでは?

A:空きアパート等について短い期間を設定し賃貸借契約を締結するというのはもちろん可能ですが、このような名目であれば旅館業の許可が不要になるというわけではありません。
2、3日という日数の賃貸は「一時使用目的の建物賃貸借」になりますが、アパート等の施設の管理、経営形態を総体的にみて、宿泊者のいる部屋を含め施設の衛生上の維持・管理責任が営業者(貸主側が寝具等を提供するような場合)にあると社会通念上認められ、施設を利用する宿泊者がその宿泊する部屋に生活の本拠を有さない場合は、賃貸借契約であっても旅館業に該当し許可が必要となります。


Q3:ウィークリーマンションに旅館業の許可は必要ですか?

ウィークリーマンションやマンスリーマンションと呼ばれるものがありますが、上記Q1、Q2と同じく、実質的に旅館業(宿泊料を受けて人を宿泊させる営業)に当たるかどうかで許可の要否が決まります。
昭和63年と古いものですが、以下「厚生労働省法令等データベースサービス」から厚生省生活衛生局指導課長通知を引用しておきます。
「厚生労働省法令等データベースサービス」はこちら

○旅館業法運用上の疑義について
(昭和六三年一月二九日)
(衛指第二三号)
(各都道府県・各政令市・各特別区衛生部(局)長あて厚生省生活衛生局指導課長通知)
標記について、東京都衛生局環境衛生部長より照会〔別添1〕があり、〔別添2〕のとおり回答したので、通知する。


〔別添1〕
(昭和六二年一二月二五日 六二衛環第七二七号)
(厚生省生活衛生局指導課長あて東京都衛生局環境衛生部長照会)
近年、社会需要の多様化に伴つて、新たな営業形態を持つ施設が出現しており、本件もいわゆるウィークリーマンションと称する短期宿泊賃貸マンションとでもいうべき施設で、旅館業と貸室業の中間的な営業形態をもつものと考えられます。
旅館業法の運用にあたつては、昭和六十一年三月三十一日付衛指第四四号厚生省生活衛生局指導課長通知が示されているところですが、本件の旅館業法上の取り扱いについて疑義が生じたため、至急ご回答願います。
(施設の状況及び管理等)
1 施設は既存のアパート、マンションの空室又は専用に建築した室を賃貸する。
2 利用日数の単位は、一週以上とし最長制限の定めはないが、実態としては一~二週間の短期利用者が大半である。
3 利用者は手付金を支払つて予約し、入居時までに物品保証金及び利用料等を支払い賃貸契約を締結した上、入居する。
4 客室には日常生活に必要な設備(調理設備、冷蔵庫、テレビ、浴室、寝具類等)が完備している。
5 室内への電話器、家具等の持ち込みは禁止している。
6 利用期間中における室内の清掃等の維持管理は、全て利用者が行う。
7 シーツ、枕カバーの取り換え、浴衣の提供等リネンサービスは行わない。
なお、利用者からの依頼があれば請け負い会社を斡旋する。
8 食事は提供しない。
9 光熱水費は各個メーターで契約解除時に別途清算する。
10 本施設の利用者は、主として会社の短期出張者、研修生、受験生等である。
(質問点)
昭和六十一年三月三十一日付、厚生省指導課長通知によれば、旅館業法にいう「人を宿泊させる営業」とは、
1 施設の管理・経営形態を総体的にみて、宿泊者のいる部屋を含め施設の衛生上の維持管理責任が営業者にあるものと社会通念上認められること
2 施設を利用する宿泊者がその宿泊する部屋に生活の本拠を有さないことを原則として営業しているものであること
の二点を条件として有するものであるとされている。
本施設を、この二条件に照らして判断すると、
1 契約上、利用期間中の室内の清掃等の維持管理は利用者が行うこととされているが、一~二週間程度という一月に満たない短期間のうちに、会社の出張、研修、受験等の特定の目的で不特定多数の利用者が反復して利用するものであること等、施設の管理・経営形態を総体的にみると、利用者交替時の室内の清掃・寝具類の管理等、施設の衛生管理の基本的な部分はなお営業者の責任において確保されていると見るべきものであることから、本施設の衛生上の維持管理責任は、社会通念上、営業者にあるとみられる。
2 また、生活の本拠の有無についても、利用の期間、目的等からみて、本施設には利用者の生活の本拠はないとみられる。
前記より、本施設を、旅館業法の適用対象施設として取り扱うのが相当と考えるが如何。
〔別添2〕
(昭和六三年一月二九日 衛指第二三号)
(東京都衛生局環境衛生部長あて厚生省生活衛生局指導課長回答)
昭和六十二年十二月二十五日付け六二衛環環第七二七号をもつて照会のあつた件について、左記のとおり回答する。

近年、いわゆるウィークリーマンションをはじめとして、新しい形態の旅館業類似営業がみられるが、これらが旅館業法にいう「人を宿泊させる営業」に該当するか否かは、公衆衛生その他旅館業法の目的に照らし、総合的に判断すべきものであることはいうまでもない。照会の施設については、貴見の通り、旅館業法の適用対象施設として取り扱つてさしつかえない。



Q4:Airbnbのサービスを利用して営業しようと考えています。インターネットでAirbnbは違法だという記述を見たのですが本当でしょうか?

A:Airbnbのサービスを利用することが違法ということではありません。
旅館業許可が必要な業態(宿泊料を受けて人を宿泊させる営業)であるにもかかわらず、無許可で当該サイトで利用者を募って宿泊させることが問題です。

旅館業の許可を得た後に、Airbnbを利用することは何の問題もありません。


Q5:簡易宿所の許可をとって民泊の営業をしたいと考えています。建物は空き屋、空きアパートを転用しようと思っています。物件を選ぶ際に注意することはありますか?

A:もともと、旅館等の営業を行っていた物件であれば問題ない可能性が高いですが、一般的な住宅や、アパート等は注意すべき点がいくつかあります。

  • 物件所在地の「用途地域」
    住宅は建てられても、旅館・ホテル等の宿泊施設が建てられない用途地域として、「住居専用地域」があります。
    建物を売買で取得する場合、または賃貸で借りる場合でも、契約前に確認してください。
    また、土地を購入して、宿泊施設とする建物を新築する場合でも、用途地域は変えることはできませんので確認して下さい。
  • 物件が「建築基準法の基準」、「消防法令の基準」、「旅館業の基準」を満たしているかどうか
    建物を新たに建設する場合は建築士が基準に適合するように設計するので問題ないと思いますが、既存の物件である場合は、築年数が相当年数に及んでいる場合などは注意が必要です。
    住宅などと宿泊施設では求められている基準が違います。
    工事をすれば許可が取れないことはなくても、改修費がかさんでしまうこともあります。
    また、既存建物を利用する場合、面積が100㎡を超える場合、用途変更の建築確認申請が必要となる場合があります。

建築基準法などの基準を満たしているかどうかは、自分だけで判断せず、関係官公署や専門家の意見を聞いて許可見込みの確認を取ってから契約をするようにしてください。

Q6:旅館業の許可を受けないで営業を行った場合はどうなりますか?

A:旅館業法には罰則があります。「6月以下の懲役又は3万円以下の罰金」に処するとあります。懲役6月はともかく、3万円ならいいや!と考えないでください。
罰則を科されると、旅館業の欠格事由にあたってしまいますので、その後しばらく許可を受けることもできなくなりますし、違反した場所以外で受けている許可があれば同じく欠格事由に該当し許可が取り消されてしまいます。

また、建築物の用途変更後に用途地域の規定違反となった場合に、当該建築物の所有者、管理者又は占有者は、100万円以下の罰金という罰則が都市計画法にもあります。
法令を遵守して営業してください。

Q7:「民泊」の営業許可を受けようとする場合、自己所有の建物でなければならないのでしょうか。賃貸物件を転貸(又貸し)することはできるのでしょうか。

A:旅館業の営業許可を受けようとする場合、自己所有建物を使用する場合はもちろんのこと、賃貸物件でも営業許可を受けることは可能です。
ただし、建物を賃貸して営業を行う場合は、賃貸借契約を締結する際に、契約内容に転貸禁止の条項がないか確認してください。
そもそも、賃貸で民泊を行う場合、建物の貸主にその内容を隠して賃貸借契約を締結するというようなことは旅館業許可を受けることができませんので、民泊事業を行うことを建物所有者に告げ、事業の内容にあった契約を締結してください。

通常の住居として賃貸した建物を無断で転貸する行為は、基本的に契約解除の理由になります。建物所有者が転貸に気づいても、それを承諾してくれる場合はいいですが、ダメとなった場合は、別の建物を探すところからやり直しです。営業を開始するときは後々問題とならないようにしましょう。

Q8:国家戦略特別区域というのに沖縄県が政令で指定されていると聞きました。東京都などで旅館業の適用を受けない特例のようなものがあると聞いたのですが、沖縄県ではどうなのでしょうか?

A:国家戦略特別区域に沖縄県は指定されていますが、旅館業法適用除外にする条例の制定は行われていません。(H28年4月)
許可申請の窓口である保健所で聞いたところによると、今のところ条例制定の予定はないようです。
ただ、旅館業許可のうち、民泊は簡易宿所になると思いますが、簡易宿所の面積要件が緩和されたのは、全国的に簡易宿所許可に民泊を組み込んでいこうという趣旨だと思われます。
今後、条例制定などの情報があれば、当サイトでご紹介していきます。

Q9:アパートやマンションの空き部屋を利用して簡易宿所の許可は受けられますか?

アパートやマンションで旅館業(簡易宿所)の許可を受けるには条件があります。以下の図を見てください。

解説

上図①は許可が受けられません。許可を受けようとする部屋と同じフロアに一般の賃借人が入居しています。このような場合、沖縄県では許可しないということになっています。
②は同一フロアすべてを簡易宿所として利用する場合ですので、許可を受けられる可能性があります。アパート・マンションの1部屋だけで許可を受けることはできないとお考えください。(ワンフロアに1部屋しかない場合を除く)
なお、③のように、1棟の建物が、吹抜や階段、エレベーターで分断されているような場合は場合によっては許可されるようです。このような場合は、図面等を保健所に持参して事前に確認しておく必要があります。

沖縄県ではこのような運用がなされていますが、他県では、アパート・マンションはそもそも旅館業に利用できないとしているところもあるようです。

(追記1)上図、②の様に2階のフロアすべてを借り受けた場合でも、他の居住者とは別に2階へ独立して到達できる階段が必要な場合があります。アパート、マンション等を利用する場合は、保健所へ図面等を持参して事前に許可可能性があるか確認するようにしてください。
(追記2)上記、追記1について、アパートなど共同住宅での旅館業許可申請において、階段が一箇所しかない場合でも許可可能という事例もあるようです。民泊については、厳しすぎる要件を緩和する方向にあるので旅館業を認めるようになったのかもしれませんが、当職は未だ明確な基準の確認が取れていません。(H29年2月現在)許可可能性は広がっているようですが、引き続き事前確認は行うことを推奨します。

Q10:Q9について、インターネットで、マンションの1部屋だけで宿泊できるようなものがでています。どういうことですか?

おそらく、滞在期間1ヶ月を超えるような貸家(定期借家契約など)だと思われます。1週間程度の短期間宿泊させるような業態ではないのではないでしょうか?賃貸借契約であっても、その内容が旅館業にあたる場合は旅館業許可が必要だと、このページ上のQ3の回答で記述しています。「厚生省生活衛生局指導課長通知」をご覧ください。

蛇足ですが、上記のような旅館業にあたらない賃貸借をする場合、自己所有のマンション等を賃貸するのは、宅建業にあたりませんが、自己所有でないマンション等の貸借の媒介・代理をすることを業として行うには宅地建物取引業免許を受ける必要があります。

Q11:既存の住宅を転用して、民泊の営業をしようと思っています。消防で「自動火災報知設備」が必要だと指摘されました。既に天井に器具がついているのですが何がダメなのでしょうか?

「自動火災報知設備」と「自動火災報知器具」は違うものです。
「自動火災報知器具」は、住宅の火災により生じる熱や煙を利用して、自動的に火災の発生を感知し、警報機の設置場所で火災が発生した旨の警報を発することができるものをいいます。ある部屋で火災が起こった場合、その天井に設置された器具がその場で警報を鳴らしますが、3階の部屋で警報が鳴っても、1階の部屋では聞こえないかもしれません。近年一般家庭等にも設置が義務づけられました。

一方、「自動火災報知設備」とは、同じようにセンサーは天井などに設置されていますが、いくつかある部屋の一つで火災を感知すると、建物全体に張り巡らされた警報システムに信号を送り、警報を建物全体に知らせるものです。旅館業を行う場合に必要なものは、この「自動火災報知設備」の方で、通常の規模の住宅には設置義務がない場合があり、住宅を転用する場合には工事が必要になることがあります。専門業者等に相談してしかるべき設備を設置してください。





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