旅館業に関わる建築基準法

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旅館業許可に関する建築基準法

建築基準法は建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する基準を定めている法律です。旅館業を行おうとする施設はこの法律の基準を満たしておく必要があります。基準を満たさない建物で旅館業の許可を受けることはできません。

新たに建物を建設して旅館業許可を得ようという場合は、建築士がその用途の基準に適合するように施設を設計するので問題ありませんが、既存の空家・空アパート・空マンション等を転用して旅館業を営もうという場合や、もともと旅館等であったとしても、築年数が相当に及んでいる建物等は、現在の基準を満たさない場合も考えられ、そのような場合は改修工事が必要になります。

建物を賃貸したり、中古物件を購入して旅館業を開始しようとお考えの方は、物件の契約前に必ず確認すべき事柄の一つが「建築基準法」です。

このサイトの記述はすべての場合を網羅しているわけではありませんので、あくまで参考とお考えください。契約する建物が法令に適合するかどうかは、建築士又は、県の土木事務所建築班等で売買契約、賃貸契約を締結する前にご確認することをお勧めします。

 耐火建築物・準耐火建築物

[建築基準法第二十七条(耐火建築物等としなければならない特殊建築物)]
次の各号のいずれかに該当する特殊建築物は、その主要構造部を当該特殊建築物に存する者の全てが当該特殊建築物から地上までの避難を終了するまでの間通常の火災による建築物の倒壊及び延焼を防止するために主要構造部に必要とされる性能に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとし、かつ、その外壁の開口部であつて建築物の他の部分から当該開口部へ延焼するおそれがあるものとして政令で定めるものに、防火戸その他の政令で定める防火設備(その構造が遮炎性能に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものに限る。)を設けなければならない。
一  別表第一(ろ)欄に掲げる階を同表(い)欄(一)項から(四)項までに掲げる用途に供するもの
二  別表第一(い)欄(一)項から(四)項までに掲げる用途に供するもので、その用途に供する部分(同表(一)項の場合にあつては客席、同表(二)項及び(四)項の場合にあつては二階の部分に限り、かつ、病院及び診療所についてはその部分に患者の収容施設がある場合に限る。)の床面積の合計が同表(は)欄の当該各項に該当するもの



[建築基準法別表第一 耐火建築物等としなければならない特殊建築物](抜粋)

用途 (い)欄の用途に供する階 (い)欄の用途に供する部分((一)項の場合にあつては客席、(二)項及び(四)項の場合にあつては二階、(五)項の場合にあつては三階以上の部分に限り、かつ、病院及び診療所についてはその部分に患者の収容施設がある場合に限る。)の床面積の合計
(二) 病院、診療所(患者の収容施設があるものに限る。)ホテル旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎その他これらに類するもので政令で定めるもの 三階以上の階 三百平方メートル以上


 採光・換気

[第二十八条(居室の採光及び換気)]
住宅、学校、病院、診療所、寄宿舎、下宿その他これらに類する建築物で政令で定めるものの居室(居住のための居室、学校の教室、病院の病室その他これらに類するものとして政令で定めるものに限る。)には、採光のための窓その他の開口部を設け、その採光に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、住宅にあつては七分の一以上、その他の建築物にあつては五分の一から十分の一までの間において政令で定める割合以上としなければならない。ただし、地階若しくは地下工作物内に設ける居室その他これらに類する居室又は温湿度調整を必要とする作業を行う作業室その他用途上やむを得ない居室については、この限りでない。
2  居室には換気のための窓その他の開口部を設け、その換気に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、二十分の一以上としなければならない。ただし、政令で定める技術的基準に従つて換気設備を設けた場合においては、この限りでない。
3  別表第一(い)欄(一)項に掲げる用途に供する特殊建築物の居室又は建築物の調理室、浴室その他の室でかまど、こんろその他火を使用する設備若しくは器具を設けたもの(政令で定めるものを除く。)には、政令で定める技術的基準に従つて、換気設備を設けなければならない。
4  ふすま、障子その他随時開放することができるもので仕切られた二室は、前三項の規定の適用については、一室とみなす。


 既存建物を旅館等の施設として利用する場合の注意点

建築物を建てるときは、用途を定めて建築前に「建築確認」を申請し、その用途の基準に適合しているかを審査し、建物完成後に検査を受けることになっています。検査を受け合格した建築物には、「検査済証」が交付され、これは旅館業許可申請の添付書類となっています。
新たに、宿泊施設として建築物を建てる場合は、初めから用途を旅館等として申請しますので、問題が生じることはありませんが、昨今広がりを見せている「民泊」は、既存の空家・空アパート・空マンション等を転用して旅館業の許可を得ようというものも少なくありません。

用途が旅館等(特殊建築物)ではない建物は、一定の場合、「用途変更の建築確認」を申請する必要があります。一定の場合とは、「旅館業に供する部分の面積が100㎡を超える場合」です。100㎡を超えない場合は、用途変更の建築確認は不要です。ただし、建物の設備等の基準は満たしておく必要があります。(用途変更は不要でも、建築基準法・消防法令等の基準は満たしておかなければならないということ)

もともとは旅館・ホテル等ではない建物を購入または賃貸して事業を行おうと考えている方は、「100㎡」に注意してください。




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